2019年07月16日

猫の慢性腎臓病 後編

こんにちは。獣医師の野口です。
今回は前回に引き続き、猫の慢性腎臓病の後編です。


腎臓病どうしたらいいの?
腎臓病は症状が現れた時には時すでに遅し。腎臓の全体の細胞の3分の2以上が破壊されないと、明らかな症状は出てきません。
しかし、腎臓の細胞は一度壊されるともとに戻ることはありません。
破壊されると残った細胞で仕事をこなさなければなりませんので、残った細胞に負担がかかり、徐々に進行していきますので、
進行を全くストップすることはできません。
したがって早期に発見し、いち早く残存している細胞に負担をかからないように腎臓を保護することが大事なのです。

腎臓病の早期発見のために
腎臓病は血液検査や、尿検査、超音波検査などで検査をします。
特に血液検査については定期的に測定して数値が高くなっていないかを見ていくことが必要です。
犬では春にフィラリア予防の検査のために血液検査を受ける機会がありますので、
ほとんどの犬で血液中の尿素窒素の数値は測っています。(当院では)
猫については健康診断を受けない限り、血液検査をする機会が無いため、腎臓病かどうかの検査を受ける機会がありませんので、
症状がひどく現れてから来院することが多く、発見から死亡までの日数が犬に比べて明らかに短いです。
というのは犬は普段の血液検査で発見されることが多いため、初期の段階で対応できているからです。
これまで、尿素窒素、クレアチニンという数値が腎臓病に特化した検査として行われてきましたが、
それらの数値よりもさらに早期発見に特化した血液検査が行われるようになりました。
(犬ではシスタチンC、SDMA、猫ではSDMAのみ)

早期発見の検査について
動物の一年は人の一年と大きく違います。
シニア、特に10歳を超えている犬猫は慢性腎臓病になる可能性は誰でも持っていると言ってもいいでしょう。
そのような年齢の犬猫については健康であっても、前回の血液検査に異常な数値が無くても、
最低でも半年に一度は血液検査をする必要があると考えます。
これは慢性腎臓病に限らず、他の病気についても言えることです。
どんなに健康に見えても、半年に一度は動物病院で健康チェックをしてもらうことをお勧めします。

慢性腎臓病の治療について
医学的な内容をお話しすることはここでは致しません。
慢性腎臓病になって、お家でできることをお話しいたします。
お話ししたとおり、慢性腎臓病では、血液中の尿素窒素(毒素)や、腎臓の細胞に負担をかけてしまう血液中のリン(P)を減らすことが大事です。
そのためには、食餌療法が効果的です。腎臓病用の療法食(処方食)には、尿素窒素の元になるたんぱく質の配合が、他のフードよりも少なくなっています。また、良質なたんぱく質を使用することで、筋肉量の減少を防ぐことが出来ます。さらに、フードの中のリンの含有量も少なくなっています。このような腎臓病用の療法食は各社メーカーで製造されています。量販店で売られているシニア用フードで「腎臓に配慮している」と表示されているものは療法食ではありません。
シニアの犬猫で、まだ一度も検査をしたことが無い方は、動物病院で血液検査をし、療法食の指導を必ず受けてください。
現在、まだ慢性腎臓病と診断を受けていない犬猫や、シニアで、慢性腎臓病が心配な方にも適切なアドバイスをさせていただきます。

ただ今、早期の慢性腎臓病用のネコちゃんのフードのサンプルをお渡しすることが出来ます。対象は10歳以上のシニアのネコちゃんで、検査をしたことが無いけれど、フードを試してみたい方にドライフード、缶詰のセットをお渡しいたします。お声掛けください。DSCN6144.JPG




療法食についてはネット販売もされていますが、飼主さんのご判断で注文するのはどの種類のフードであっても避けるべきです。獣医師の指導の下購入してください。
posted by ドル at 16:04| Comment(0) | 診療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

休日 その⑦:クライミング&ワクチンセミナー。

おはようございます、勤務医の林です。
休日で予定が入らない日はとことんだらけるタイプです。
掃除や買い物などに動き始めるのが夕方からになることも…💦
さすがにあまり良くないと思ってはいるので、なるべく予定を
入れるようにしています。
という前置きからの休日シリーズです。


その①:ロープクライミング挑戦
普段から【ボルダリング】とチョコチョコ書いていますが、
これは『命綱なし』『下にマットを引いて』自力だけでなにかを登る
スポーツです。屋内だと壁を登ったり、屋外なら岩を登ったり。

今回は神奈川のジムで【ロープクライミング】をしてきました。
これは『ロープを付けて』『高い所まで』登るスポーツです。
基本的な動きはボルダリングと同じですが、高さが段違い!💥

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(登ってる赤いシャツが僕です。)

これはまだ登ってる途中の写真ですが、頂点のロープがぶら下がっている
あたりまで登っていきます。力尽きても下の人がロープで支えてくれるので
安心して落ちられます。笑。

ロープクライミングは今回が初挑戦でしたが、ボルダリングとまた
違っていて、またやりに行きたいです。
普段からされている方は今度ぜひご一緒しましょう。笑。


その②:ワクチンアレルギーのセミナー
遊んでばかりではなく、たまにはまじめな話も。
先日都内で行われたワクチンアレルギーに関してのセミナーに
参加してきました。

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ワクチンアレルギーが・どの程度起きるのか ・どんな感じなのか
・どのような経過を取るのか ・接種後どのくらいから発症するのか…
様々な内容を最新の知見も含め系統立てて講義をしていただきました。
対処法も詳しく講義していただき、知識を更にアップデートできました。

「ワクチンアレルギー」と言うと皆さんご存知な言葉で、死亡事故も
けっこう起きるようなイメージもあると思います。
ですが実際に死亡事故が発生する確率は1/50000程度でかなり低く、
死亡以外のアレルギー症状が出ることも多くないという報告がありました。

ですが、そうは言っても、アレルギー症状が出る可能性は当然0%ではなく、
0%でない以上病院側としては0%に近づける努力をしなければいけません。

今回の知識を動物の安全に活かしていけるようにしたいと思います。


(セミナー開催前は銀座周辺のアンテナショップを回り結局休日を楽しんでたり。笑。)
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2019年07月09日

眼科 その⑧:あれ? うちの子眼が見えない?

おはようございます、勤務医の林です。腰の違和感が再発中…💣
自分はネコ🐱を飼っていますが、2匹とも徐々に高齢になってきました✋
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毎年している血液検査で、今回茶トラに甲状腺機能亢進症が見つかりました⤵
眼科 その⑤や眼科 その⑥ で、猫では網膜剥離などをから緑内障を起こすことを書きましたが、我が家の猫でもその網膜剥離を起こしうる病気が見つかったので
さっそく投薬し始め、甲状腺ホルモンをコントロールしているところです。
とくに眼の症状が出る前に病気を見つけられたので網膜剥離などは大丈夫そう。
眼が見えなくなる前に病気が分かって良かったと思っています。


それに合わせて今回は犬種ごとに出やすい「目が見えなくなる病気」の話。


同じ「目が見えない」という状態でも、原因はいろいろ違ってきます。
その原因の中には、遺伝子が関連し犬種ごとに出やすい原因があります。

原因その①:緑内障
⇒出やすい犬種:柴、アメリカン・コッカースパニエル、シーズー、
        プードル、チワワ、パピヨン、など
緑内障に関しては今までもいろいろ書いてきていますが、やっぱり
眼が見えないと言えば一番に出てくる病気だと思います。
痛みも伴うので上記の犬種は気を付けて見ていてほしいと思います。


原因その②:遺伝性網膜変性(≒進行性網膜萎縮:PRA)
⇒出やすい犬種:ダックスフント、ラブラドールレトリーバー、
        プードル、パピヨン、ボーダーコリー、など
まだこのブログでは書いていませんが、有名な病気です。
基本的に、『夜盲から始まり』『徐々に進行する』の2つの症状が
一般的に出やすい疾患です。進行すると白内障も引き起こし、
眼が見えない原因が白内障かと思ったらこの病気だった、なんてことも。


原因その③:水晶体脱臼
⇒出やすい犬種:テリア系全般、プードル、チワワ
水晶体脱臼とかいう想像しただけで痛そうな怖い病気です。
実際、脱臼の仕方にもよりますが、かなりの痛みを伴う辛い疾患です。
水晶体脱臼だけで目が見えなくなるわけではありませんが、
その後緑内障を続発しやすく、その結果眼が見えなくなります。


原因その④:網膜剥離
⇒出やすい犬種:シーズー、コリー種
猫だけではなく、犬でも網膜剥離は起こります。
特にコリー種は生まれつき網膜の異常が有ることがあり、その結果として
網膜剥離まで引き起こされることがあります。
若いうちに網膜に異常が無いかを見ておくと安心かもしれませんね。


原因その⑤:突発性後天性網膜変性症(SARDs)
⇒出やすい犬種:ダックスフント、マルチーズ、パグ、
        シーズー、シュナウザー、ビションフリーゼなど
現時点で原因不明であり、治療法もない難病。
『突発性』と言うくらいあって、急に眼が見えなくなります。
1日から1週間程度で急激に進行しうる辛い病気です。
同時に飲水量が急に増えたりすることもあったりします。


原因その⑥(番外):脳炎
⇒出やすい犬種:チワワ、パグなど
眼の異常ではなく、脳の異常によって目が見えなくなります。
若くしてなることも多く、その場合は長生きするのが難しくなり、
またケイレンなどの発作も出る辛い病気です。


ほかにも眼が見えなくなる病気や原因はありますが、
多いのはこの辺りでしょうか?
眼の病気に限らないことですが、大事なことは


『自分の飼っている子はどんな病気になりやすいのか?』


ある程度で良いので、これを知っておくことだと思います。
気になる方は是非お気軽に僕に聞いてみてください。
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2019年07月03日

猫の慢性腎臓病 前編

こんにちは。獣医師の野口です。

お久しぶりになってしまいました


人だけでなく、犬猫の寿命も延び続けています。それに伴い、老齢になると発生しやすい病気も様々。
心臓の弁膜症(犬)、甲状腺機能亢進症(猫)、歯周病(犬猫)、変形性関節症(犬猫)、白内障(犬)、腫瘍(犬猫)などなど。
その中でも多いのが慢性腎臓病(犬猫)です。
これまで犬や猫を飼われたことのある方はこの病気で亡くしている飼い主さんもいらっしゃるのではないでしょうか。

さて、今回と次回は慢性腎臓病についてお話しします。
慢性腎臓病は急性の腎臓病と異なり、症状が緩慢で、進行性であり、明らかな症状が出た時には既に末期に近い状態と、
早期発見が大変大事な病気です。
進行は初期は年単位、月単位、週単位と、極めてゆっくり進行しますが、末期は日替わりで体調が悪くなります。


症状は?  初期では飲水量の増加、排尿量の増加、食欲の減退、脱水、削痩、偏食です。
末期には食欲廃絶、嘔吐、下痢、衰弱、貧血、発作様症状が起こることがあります。

なぜこのような症状が起きるの?  
症状を左右するのは血液中の尿素窒素(BUN)です。
この数値が高値になればなるほど、症状は強く現れやすくなります。
しかし、慢性腎臓病の場合は尿素窒素が高値であっても体が慣れてしまい、高値でも症状が出にくい場合もあったり、
数値がそこまで高くなくても、症状が明らかに現れてしまったりと、数値と症状の発現には個体差があります。

では、この尿素窒素とは?
尿素窒素は本来腎臓で老廃物として尿中に排泄されて捨てるべき、いわゆる毒素です。
末期では毒素が血液中に高濃度に含まれるため、脳に刺激を与え、発作症状を起こします。
そこで力尽きて亡くなってしまうことがあります。
この尿素窒素はもともとは食餌中に含まれるたんぱく質(肉、魚、大豆、卵など)が由来です。
生きていくのに必要はタンパク質ですが、これを摂取し、栄養素を吸収した後、
最終的にアンモニアに変わり、それを肝臓で尿素窒素という形に変えて腎臓から排泄されるのです。
腎臓病になると腎臓の働きが悪くなり、この毒素の排泄が悪くなり、血液中に残ったままとなり、尿素窒素の数値が高くなります。


今回ははここまで。次回は慢性腎臓病を早期発見するためのお話を続編でお伝えします。
慢性腎臓病は老齢の犬猫で大変起きやすい病気の1つで、病気のことを飼い主さんに知ってほしいので、
あえて詳しく説明するために2回に分けました。
ちょっと難しい所も出てきますが、わからない時は獣医師にお尋ねください。


さて、私事のお話をさせていただきます。
昨日、7月2日にまたまたチャングンソクのフィルムコンサートに行って参りました。
豊洲Pitというライブハウスが会場で、19時より開催されました。5月に長野まで遠征に行きましたが、
今回は追加公演の最終日、最終回でした。
長野よりもずっとずっと盛り上がり、踊って歌って叫んで、思いの全てをぶつけた2時間でした

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2019年07月02日

眼科 その⑦:緑内障の遺伝子検査。

勤務医の林です。“あっ”という間に真夏が近付いてきてますね。
今年の夏は平年より残暑が続くそうですが、毎年そう聞いている気がします💥
蒸し暑いとヒフが悪くなり、痒みが強くなるワンちゃんがいますが、
その場合には眼の周りを掻いてしまうことも多いです。

人の場合にアレルギーを持っている方は眼の周りを掻いて
緑内障リスクが高くなるという報告があるそうですので、
動物の場合でも眼の周りを掻いていると緑内障リスクは高くなりそうです💧

眼科その①で緑内障について書きましたが、今回はそれと関連する話です。

現在、獣医療の世界でも様々な遺伝子疾患が分かってきており、
それに伴って行える遺伝子検査も増えてきています。

その中でも、今回は『緑内障』の遺伝子検査についてお伝えします。

以前も書きましたが、柴犬は3頭に1頭が緑内障になるとも言われてます。
ならない可能性の方が高いけれど、なる可能性もけっこうある感じ。
また、他にも緑内障になりやすい犬種は何種類もいます。

ですが、自分の飼っているワンちゃんが緑内障になるリスクが高いか低いかは
犬種だけでは判断しきれません。

そんな場合、遺伝子検査を行うことでリスクを検討できるようになります。
遺伝子検査で緑内障になる/ならないを100%判断することは困難ですが、
検査の結果でリスクの多寡を知ることが出来れば、今後どんなことに気を付けて
生活していけば良いかを考える目安になると思います。

当院では緑内障の好発犬種の飼い主様には遺伝子検査のことをお伝えし、
ご希望された飼い主様とワンちゃんには検査を行うようにしています。

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⇑これが遺伝子検査の結果ですね⇑
この結果は今回検査を行ったワンちゃんの飼い主様の許可をいただき、
どのように結果が出るかお伝えするためにブログに掲載しました。
このワンちゃんの飼い主様は緑内障のことをしっかりと考えられ、
皮膚の診察で来られた時に毎回眼圧検査も行っています。

どんな検査なのか、どう行うのか、費用がいくらくらいなのか・・・
気になることがありましたらいつでもご相談ください。
posted by ドル at 09:00| Comment(0) | 診療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする