2020年02月04日

高齢シリーズ その④:口腔

ややショッキングな画像があるため、血などに弱い方は画像にご注意ください。

おはようございます、勤務医の林です。節分でしたね⤴
皆さまは恵方巻は食べましたか? 僕がスーパーに寄った時には
もう残っていませんでした⤵
年の数だけ豆を食べるのは「福を年の数だけ体に入れる」と
言うことが由来らしいですが、若い人だって福をいっぱい体に
入れたって良いじゃないかと思います。
ともあれ、福豆を摂って皆が幸福で長生きできると良いですね。

しかし、歳を取るとどうしても歯周病など口腔疾患が起きてきます。
犬や猫の場合、3歳以上の子の80%以上💥が歯周病を持っていると
いう報告もあるくらい口腔の異常は起こりやすい病気です。

自身で歯磨きが出来ないワンちゃんニャンちゃんの歯はどうしても
歯垢が付いて、歯石に覆われていきやすいです。
また最近では、無麻酔下での歯石取りを行う施設が増えていますが、
そういった施設では歯肉内の処置は行えないため、外見上はきれいに
見えても、見えない部分で歯周病が進行してあごの骨が融けている💥💥
ワンちゃんが来られることもあります。

・無麻酔下では歯肉内の処置は痛がるため行うことが困難である
  ・獣医師以外が出血を伴う処置を行うことは獣医師法違反になる
  という理由により一般施設で歯肉内処置は行うことがほぼ不可能である)

歯肉内で歯周病が進行するとあごの骨の中まで細菌感染が進行し、
歯の根っこの部分(根尖部)の骨が融けて歯がグラグラして抜けてしまうことが
多いのですが、奥歯の場合は根尖部が3本に分かれているため、1本の根尖が
ダメになっても残った根尖で歯が抜けないこともよくあります。

大きな声では言えませんが、どちらがまだマシかと言えば悪い歯は抜けて
しまった方がその部分は落ち着いてくれやすいです。
(本当はそうなる前にしっかり処置してあげるのが良いのですが。)
悪い歯が残っているとその部分で細菌がいつまでも増殖し、どんどん化膿が
悪化し、あごの骨が融け、上あごの場合は眼の下に穴が開きます💣💥

この子は眼の下から膿が出てきてしまい、投薬ではなかなか治まらないため
最終的に全身麻酔下で歯の処置を行いました。
歯の表面部分はそんなに汚れはひどくないのですが、よく見ると根尖部は
歯石がけっこう付いているのが見えます。
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ここまで状態が悪くなっていると抜歯が必要になります。
IMGP6324.png

奥歯の根尖部分がひどい化膿を起こして、完全に穴が開いていました。
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また、下あごの場合だと骨折して口が閉じられない辛い状態になります💥


猫だと『歯の吸収病巣』という疾患もあります。犬でもたまにありますが、
圧倒的に猫の方が発生率が高く、発生率は約50%という報告もあります。
この病気も歯がなくなってしまう病気であり、痛みも出やすい病気のため
猫の場合は歯石だけでなくこの病気にも注意が必要です。


高齢まで歯をなるべく残してあげるためには歯磨きが出来れば一番ですが、
中々できないことも多いので当院では歯磨き以外にも様々な口腔ケアを
飼い主様に提案しています。
歯磨き以外ではどんなやり方があるのかなど、お気軽にご相談ください。

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2020年01月08日

お知らせ:迷子のオカメインコ

おはようございます、勤務医の林です。今日はまじめなお知らせです。
オカメインコが迷子になったため探していますという連絡が病院にありました。

2454.jpg

もし「似たような子を見かけた」などの情報がありましたら
ご連絡いただければと思います。

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2019年12月17日

高齢シリーズ その③:関節

おはようございます、勤務医の林です。
最近はなんやかんやと忙しくてボルダリングにあまり行けてません⤵
おかげで(?)、良いのか悪いのか、指の痛みが大分減っています。
ですが最近肩を動かすとちょいちょい音が鳴ります。大丈夫かな?

寒くなってくると関節の痛みも出やすいので、今回の高齢シリーズは
関節について書いてみようと思います。

まず、最初に知ってほしいこととして、
猫🐱は【骨関節炎】になっている可能性がとても高いのです!
12歳以上の猫の90%以上の子に骨関節炎があるという報告があります。
また、犬🐶でも20%が骨関節炎を持っていると言われています。

次に、起きやすい病気を挙げていくと
・股関節形成不全
・前十字靭帯断裂
・肩関節不安定症
・変形性脊椎症    などが出やすくなります。

漢字が多くて読みにくいし、どんな病気か分かりにくいですね💦
なので、それぞれの病気を簡単に解説していこうと思います。


【股関節形成不全】
ざっくり言えば「股関節」の「形成」がおかしい、という病気です。
成長期の異常で生後6ヵ月ごろに症状が出やすいのですが、症状はその後
一度落ち着いた後、加齢などにより8歳前後から再度出やすくなります。

主な症状は『運動後の跛行』『変な歩き方』『活動性の低下』です。
興味深いことに、[痛みで足を挙げる]症状はほぼ出ません。

治療法は内科治療と外科治療に分かれますが、ほとんどの場合は
内科治療で症状をある程度に抑えていきますが、コントロール不可の
場合には外科治療を検討することもあります。


【前十字靭帯断裂】
「前十字靭帯」は膝にある靭帯の名前ですが、なんとなく聞いたことが
ある人もいるかもしれませんね。この靭帯が部分的にもしくは完全に
切れてしまう病気で、中齢以上の犬の後肢跛行の原因でよく見られます。

症状は『繰り返し跛行が起きる』『後肢を挙げてしまう』『横座り』が
主に出やすい症状です。

治療は早期の外科治療が推奨されていますが、症状や程度などから判断し
内科治療を行いながら経過を見て行くこともあります。


【肩関節不安定症】
肩関節に慢性的な外傷が加わることで起きる病気のため、活動性の高い
犬で発生が多い病気です。大型犬に多いイメージがあります。

『運動後の痛みを繰り返す』『わきを抱えると痛くて鳴く』という
前肢に出る症状が一般的です。

治療は外科治療が良いと言われていますが、安静を保ちながら内科治療を
行っていき、この病気と付き合っていくこともあります。


【変形性脊椎症】
これが関節炎かどうかというと少し違うかもしれませんが、今まで書いて
来た中で圧倒的に発生率が高い、背骨の一部が変形していく病気です。
レントゲンを撮った時に偶然見つかることも多いです。

多くの場合は無症状で終わることが多いですが、骨盤付近の脊椎で
変形が起きると神経症状が出ることもあります。
症状が無ければ基本的に無治療で経過観察していきます。


どの病気であっても、症状が出ないようにしていくのが一番のため、
定期的に病院で確認してもらうことが良いと思います。
気になることがあれば早めにかかりつけの獣医師にご相談ください。


✨年末年始の休診日のお知らせ✨

当院は年末年始は以下の日程で休診いたします。

休診期間中の緊急対応についてはホームページと留守番電話にて
ご案内しておりますのでご確認ください。

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2019年11月15日

高齢シリーズ その②:腫瘍

こんにちは、勤務医の林です。寒さに負けて布団を増やしました。笑。
今週末は炬燵やストーブなど暖房器具を出す気満々です。
それまではネコを湯たんぽ代わりにしてやり過ごすつもりです。
動物飼ってて良かったと思う瞬間ですね💕

今週は腫瘍などの手術が続き、大忙し週間でした。
当院はレーザーで痛みや出血の少ない手術を行っており、また腫瘍に対して
レーザーによる『光免役誘導療法』も行っております。
そのため、高齢犬で腫瘍に困っている患者さんもよくお出でになります。
(『光免役誘導療法』の内容は院長がきっと書いてくれるでしょう。笑。)
なので今回は【腫瘍】についてざーっと書いてみようと思います。

まず、腫瘍について。腫瘍はざっくり『良性』と『悪性』に分かれます。
『悪性』の中にいわゆる【がん】と言われる挙動の悪い物が入ります。
人だと『乳がん』や『胃がん』が有名ですね。
今回はこの『悪性腫瘍』に絞って話をしていきます。



発生頻度を調べたところ、犬と猫で発生頻度の高い悪性腫瘍の種類として、

犬🐶の場合、1~5番目まで多い順に
皮膚肥満細胞腫、リンパ腫、悪性黒色腫、悪性乳腺腫瘍、扁平上皮癌

猫🐱の場合、1~5番目まで多い順に
リンパ腫、皮膚肥満細胞腫、悪性乳腺腫瘍、扁平上皮癌、骨肉腫

という報告がありました。
僕のイメージしてた腫瘍とはけっこう違いました💦

この中で驚くべきは、猫の場合はリンパ腫だけで30%以上!!
猫で腫瘍を疑ったらまずリンパ腫を疑う、といっても過言ではありません。
犬の場合は、発生する腫瘍の種類はけっこうばらけています。


腫瘍の種類や内容を書いていくと、たぶん厚いハードカバー本ほどにも
なってしまうと思うので、今回は犬と猫でそれぞれ発生頻度1位だった
犬の皮膚肥満細胞腫と、猫のリンパ腫についてまとめを書こうと思います。


①犬の肥満細胞腫
パグやボストンテリア】で発生率が高いことが知られています。
典型的な外見として、最初は『BB弾大』程度のふくらみで、
皮膚色~やや赤めの外見を示すことが多いです。
大きくなると野球ボールより大きくなることも!Σ(・□・;)

治療法は、【外科手術】でしっかり取りきることが推奨されています。
肥満細胞腫は皮膚の下で蛸の足状に根を張ることもあるので、ややハードルが
高いですが、手術を行う前にCT検査を行うことが理想とされています。

手術ができない場合や完全に取り切れない場合は、抗がん剤や
放射線療法を併用していく
ことが勧められます。

部分的な発生で、手術でしっかり取り切れば完治が期待できます。
しかし治療後も再発しやすい腫瘍のため、継続的な治療と定期的な再検査を
行うことをお勧めしています。


②猫のリンパ腫
先程も書きましたが、猫の悪性腫瘍の中でも圧倒的な発生率の腫瘍です。
ある本にも【高齢猫ではあらゆる部位でのリンパ腫を考慮して診察すべき】と
書かれるほど!Σ(・□・;)

全身の至るところに出来るため、外見からは見えないことも多いです。
当然(?)、僕の得意分野の『眼』に出来ることもあります。
体内では『消化器』や『泌尿器』などでよく発生します。

治療法は、最初に選ばれるのは【化学療法(抗がん剤)】がメインですが、
化学療法は薬剤の組み合わせで色々なプロトコルがあり、獣医師の判断で
どのプロトコルを使用するかは変わってきます。

どれだけ治療を行っても『完治』することはなかなか厳しい腫瘍ですが、
『寛解』として症状を抑えた状態で予後を過ごすことは期待できます。

ゴールをどこに設定するのか。どうやってゴールを目指すのか。
かかりつけの獣医師としっかり話し合うことが大事だと思います。



人も動物も同じですが、高齢になるほど腫瘍の発生率は上昇し、
腫瘍との戦いは厳しいものになることが多いです。
そのため可能な限り早期に発見し、進行する前に対処することで
完治の可能性を少しでも高めることが、なにより大事です。

昨今は多くの病院で健康診断を行っていると思うので、
かかりつけの病院で色々相談してみてください。


次は眼科シリーズは眼の腫瘍について書いてみようかな...。ちょっと生々しい写真が出そうで怖いですが。
posted by ドル at 18:00| Comment(0) | 診療(林) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年10月29日

高齢シリーズ その①:眼の変化。

おはようございます、勤務医の林です。敬老の日でまた3連休がありますね。
我が家で飼っている猫も老猫と言って差し支えない年齢になってきたので、
敬老の日にはなにかプレゼントを考えようと思います🐱
しかし最近は休日の度に台風が来るので、今度くらいは遠慮してほしいです💧

ということで(?)敬老の日にかこつけて高齢動物シリーズも始めてみます。
各臓器ごとにまとめていって、現時点では10回前後を予定しています。
1回目はやっぱり【眼】👀。


高齢動物の【眼】と言えばまず最初に思いつくのは『白くなる』ですかね。
眼科シリーズでも度々書いていますが、高齢になると「白内障」の発症する
動物がちょこちょこ見られます。

ですが『眼が白い』=「白内障」ではありません。ここテストに出ます!(笑)

『高齢』になった動物で『眼が白い』と言われた時、
・白内障 ・核硬化症 ・角膜ジストロフィ ・角膜浮腫 ・前房蓄膿、
このくらいはパッと思いつき、そこから鑑別していきます。

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この子は以前にも登場しましたが、写真ではわかりにくいですが両眼とも
白くなっています。診断は片目が白内障で、もう片目が核硬化症でした。
同じ『眼が白い』でも右眼と左眼で診断内容が違うこともよくあります。


おなじく、高齢の動物で『眼が黒い』と言われた時は
・緑内障 ・虹彩萎縮 ・ドライアイ ・色素沈着 ・腫瘍 ・黒色壊死、
この辺りが鑑別診断に入ってきます。
緊急対応が必要な疾患と、経過観察で良い病気の両方があるのが嫌ですね。


他には『眼が赤い』、『目ヤニが多い』、『まぶたに何かある』、
この辺りが高齢動物の眼に多い症状だと思います。

とくに『まぶたに何かある』時は、ほぼほぼ腫瘍だろうと思います。
まぶたの腫瘍は良性のことが多いですが悪性のこともあり、自分は
しっかり説明した上で、摘出手術も提案しています。

高齢の子が更に歳を取り、体が弱ってきた時に手術しなければいけない、
なんてことにならないようにしたいものです。


上記に書いたような症状が気になる時は、お気軽にご相談ください。
それぞれの症状の原因を診断し、今後どうするかを決めていきましょう。


書き始めてから分かったけれど、病気の内容を一つひとつ細かく書いていけないのでけっこう大雑把なまとめになりそうで不安(^_^;)
posted by ドル at 08:00| Comment(0) | 診療(林) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする