2020年07月09日

眼科 その⑰:涙が多くて溢れている(犬) その②

おはようございます、勤務医の林です。今回は流涙症のその②です。
前文駄文なし、今回で終わらせますのでお付き合いください。

前回は【涙が流れていく管が詰まってあふれ出る】について書きましたが、
今回の内容は【普通より涙が多く出てしまいあふれ出る】状態です。


涙が多くなると単純に言っても様々な原因があります。
・異物が入り込んでいる
・角膜に傷がついている
・角膜の状態が悪い
・眼瞼の異常がある
・涙の質が悪い   などが一般的に挙げられます。

異物が入り込んでいる、には以前『眼科:その⑨』で書いたような
眼の表面に寄生虫がいる場合もあります。

http://watanabe-ah.seesaa.net/article/468038992.html


異物や傷の問題であればそれを治療すれば流涙は減りますが、
眼瞼の異常があるときや、角膜の状態や涙の質が悪い場合、
検査や治療は一筋縄では終わりません。

眼瞼の異常がある場合、改善するには手術が必要になることがあります。
また角膜や涙の質が悪い場合、自宅での特別なケアや一般的な病院では
あまり使われていない点眼薬を長期にわたり使っていく必要があります。

ですが、時間はかかっても流涙症を改善させることは可能ですので、
どのような治療を行うかはご相談いただければお答えいたします。


ここまで書いておいてですが、原因が経過を見ていても問題ないことが
はっきりしている場合、あえて治療を行わないということもあります💦

点眼などの治療を行うことが動物や飼い主様のストレスになる場合などが
その状況に当てはまります。
動物が健康であることは大切ですが、だからと言って飼い主様との関係が
悪化してしまったら本末転倒です。
一般的な病気と違って流涙症は経過観察できるものなので、どのような
治療を行うか行わないか、一緒に決めていきましょう。

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2020年06月16日

眼科 その⑯:涙が多くて溢れている(犬)

おはようございます、勤務医の林です。年を経るに歳を取るにつれ
だんだんと涙もろくなってきている気がします。
涙もろくなってくるのは加齢で肉体の老化が起きるように、
感情を司る脳の機能が落ちるかららしいです。…やだなぁ💧

ワンちゃん🐶も涙で眼の下が濡れてしまっている子をちょこちょこ見ます。
今日はそんな犬の「流涙」に関する話題。


基本的な話ですが、眼の表面は常に涙によって濡らされています。
涙が不足してしまう病気は有名な【ドライアイ】。
涙が外にあふれ出てしまうのが【流涙症】です。

流涙症の場合は原因はざっくり2つに大別されます。
すなわち
①涙が流れていく管が詰まってあふれ出る
②普通より涙が多く出てしまいあふれ出る

ここまで書いて気付きましたが、今回も長くなって2回構成になる…💦


①涙が流れていく管が詰まる
犬も猫も同じですが、ふだんから余分な涙は鼻腔に流れていきます。
人もそうなので泣くと鼻がグシュグシュになりますよね。
この鼻へ涙を流す管を『涙管』と言います。この涙管が何らかの原因で
流れが悪くなり詰まってしまうと、当然、涙は鼻へと流れずに眼の外へ
あふれ出てしまいます。

涙管が詰まる原因は色々あり、その原因を探ることから診察を始めます。
治療は涙管を詰まらせる原因の除去と、それと一緒にだいたいの場合は
『涙管洗浄』も行うのが一般的な治療法です。

涙管洗浄とは、涙管に注射器やチューブなどを使って軽く水圧を
かけながら水を流し、詰まらせているものを洗い流す治療法です。
多くの病院で昔から行われている治療法で、比較的簡単に行えますし、
うまく洗い流せればそのままスッキリと良くなってくれます。

デメリットとしては動物が動いてしまうとできないため、鎮静や麻酔が
必要になる動物もよくいることです。
また原因次第では涙管を洗い流せなかったり、再発することもあります。
その場合は鎮静や麻酔による負担を何度もかけるより、涙が出ていても
問題が発生しないかを見ながら経過観察していくこともあります。

僕自身は涙管が詰まっていても鎮静や麻酔の負担を考え、最近はあまり
涙管洗浄を行わず他の治療法で対処しています。


その2へ続きます。その2で終わるはず。多分。
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2020年04月23日

眼科 その⑮:眼が見えない?-網膜編 その③- 

おはようございます、勤務医の林です。眼科の話が続きます。
外出自粛の為休日シリーズの更新はまだまだできない状況です⤵
コロナウイルスがとにかく早く落ち着くことを願うばかりです。

網膜編は今回でなんとか終わらせる予定です✋
(長くなったらごめんなさいm(_ _)m)


病気 その③:SARDs(突発性 後天性 網膜変性 症候群)
日本語だと長いので、SARDsで書いていきます。
好発種:(体感的には)ダックスフント、ミニチュア・シュナウザー
好発種:特になし?

病名が示すように、『突然』『網膜が変性』して眼が見えなくなります。
『突然』と言われるくらい、完全失明まで数日から2週間程度で進行します。
現在では明らかな原因も治療法も分かっていないため、ほぼ不治の病です。
(たまに「この治療で治った」という報告もありますが、同じ治療をしても
 ほかの個体には反応がないことがほとんどです。)

この病気になるときは
・中高齢で
・体重増加や
・多飲多尿が見られる 
ことも言われていますので、気になる症状があればご相談ください。


病気 その④:網膜変性(栄養性、中毒性など)
好発種:特になし
好発種:特になし

栄養性による網膜変性で有名なものは、でのタウリン欠乏です。
昔は猫のご飯にいわゆる『ねこまんま』がありしましたが、それら手作り食で
タウリンが欠乏すると網膜が変性して、眼が見えなくなります。
最近のキャットフードならそのような問題はまず起きないので大丈夫です。

中毒性の変性には、にある種の抗生剤を投与した時に起こる網膜変性です。
けっこう有名な話なのでどの抗生剤で問題が起こりうるかはかかりつけの
獣医師に聞かれたら教えてもらえると思います。
ただし、その抗生剤で必ず網膜変性が起こるわけではなく、可能性も低いので
猫にその抗生剤を使うことが絶対に駄目というわけではありません。
どの薬でも副作用があるように、注意しましょうという感じですね。


病気 その⑤:網膜 脈絡膜 炎(=脈絡 網膜 炎)
好発種:原因疾患による
好発種:原因疾患による

原因には様々な疾患が絡んでおり確定できないこともありますが、
・特発性(確定できる原因がなくとも発症すること)
・感染性:パルボ、FIV、FeLV、FIP、トキソプラズマ、回虫、プロトテカ他
・免疫介在性:フォークト・小柳・原田病、SLE など
・腫瘍性:リンパ腫、脈絡膜黒色腫など
などに分類されます。

原因によって治療法も当然色々変わってきますが、病気の種類によっては
二次診療施設での治療が必要になることもあります。



網膜が原因で眼が見えなくなることがある病気を書いてきましたが、
書いている自分も段々わけが分からなくなりそうです💧

どの病気もそうですが、最初から分かりやすく大きな異常が出ることは
それほど多くありません。普段通りの元気があったとしても、普段と
なんとなく違う部分があるようなら、いつでもご相談ください。

(真面目な話が多くなったから休日シリーズを書きたいけど遊びに行けないから書くことがない…悲しいです💦)
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2020年04月17日

眼科 その⑭:うちの子、眼が見えない?-網膜編 その②- 

おはようございます、勤務医の林です。
最近机に座ってパソコンを使っているとなぜかお尻の上部の方が痛みます。
大臀筋か中臀筋かは分かりませんが、悪化しないでほしいものです💦

そんな前文とは何も関係なく、今回は前回の眼科シリーズの続きです。
(前回はhttp://watanabe-ah.seesaa.net/article/474229634.html
前回は多くの人が聞いたことがあるだろう網膜剥離について書きましたが
今回の内容は多くの人はあまり聞きなれない病気です。
ですが、聞きなれない=発生しにくい ではないのでそこは注意です💣


病気 その②:遺伝性網膜変性
以前は【進行性網膜委縮(PRA)】と言われることが多かったですが、
近年は【遺伝性網膜変性】と言われるようになってきています。
呼び名が変わっても、ほぼ同じ病気と思ってもらって大丈夫です。

この病気の辛い所は『治療法がない』『若くても発症することがある』
『白内障も引き起こす』が挙げられます。
遺伝性のものなので飼い主様が気を付けられることもなく、発症したら
ほぼ確実に眼が見えない状態になってしまう病気です。

好発種:ダックスフント、ラブラドール、プードル、シュナウザー、他
多くの犬種でこの病気を引き起こす遺伝子が見つかっていますが、
個人的な体感ではダックスフントでの発症がとても多いです。

好発種:アビシニアン、ペルシャ、シャムなど
猫でも発症すると言われていますが、それほど多くないイメージですね。

一度発症すると有効な治療法がないため、うまくやれても失明するまでの
時間を遅らせることしかできません。そのため、少しでも早く発症に
気付いてあげることが大事です。
飼い主様が気付けるポイントとして【夜盲】があります。
「暗くなるとぶつかる/動かなくなる」などの症状が出たり、
「暗いと普段より眼がキラキラ光って見える」などの症状が出たら
すぐにお近くの眼科の得意な先生にご相談ください。



今回で眼が見えない病気を書き終えるつもりでしたが、思ったより
長くなってしまいそうなので、もう一回に分けて書きます✋
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2020年03月27日

眼科 その⑬:うちの子、眼が見えない?-網膜編- 

おはようございます、勤務医の林です。めっきり春になりましたね。
丸2年を迎える我が家の枝垂桜もだいぶ満開に近付いています。
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今年咲いた物を来年も見られるとは限らないので、好きな物や
きれいな物は見られるうちにしっかり見ておきたいものです。

ということで?今回は物が見えなくなる【網膜】の病気です。
以前も『眼科その⑧』でざっくりとは書いたのですが、

http://watanabe-ah.seesaa.net/article/467671424.html
その中の網膜の病気を少し詳しく書いていこうと思います。


病気その①:網膜剥離
網膜の病気で最初に思いつくものと言えば『網膜剥離』だと思います。
まず病名が有名だし、名前からどんな病気か分かりやすいですね。

好発種:シーズー、コリー種、イタリアングレーハウンド、プードル
ただし好発犬種ではなくてもぶどう膜炎や緑内障など眼内の病気を
起こした後
は網膜剥離が起こりやすくなるので注意してください。

好発種:猫種によってなりやすい/なりにくいと言うより、
高血圧やぶどう膜炎などを起こした猫がなりやすい、と思った方が良いです。

原因としては1.遺伝性-特に原因らしいものが無くても遺伝的に発症する 
      2.続発性-ぶどう膜炎や外傷など眼の疾患の後に発症する
      3.高血圧や過粘稠症候群など全身の異常に伴って発症する
などが挙げられます。眼の病気だけでなく全身疾患にも注意ですね。


検査を行うことで、網膜剥離が『裂孔原性網膜剥離』タイプなのか
『非裂孔原性網膜剥離』タイプなのかを判断します。

(タイプに関しては難しい話になるのであえて細かい説明はしません。)

タイプが分かったらそのタイプごとに治療をしていきます。
外科治療と内科治療があるのですが、外科手術を行える病院は限られているのが
現状です。治すためには手術を行うことが必要になることも多いため、
今後手術を行える病院も少しずつ増えていくと思われます。
内科治療の場合は点眼薬や内服薬を使いますが、タイプによってはこの治療で
治ることも期待できます。


外科治療であっても内科治療であっても大事なことは、網膜剥離になってから
治療開始までの時間が短いほど視覚回復が期待できるということです。
逆に言えば、どれだけ良い治療をしようと思っても、網膜剥離になってから
時間が経ってしまっていると視覚は回復できない可能性が高いです。


次回以降に書く予定の『遺伝性網膜変性』や『突発性後天性網膜変性』などは
治療法が確立されていないため視覚回復はほぼ無理なのですが、網膜剥離は
【見えるようになる可能性がある】病気なので早めの対応を相談しましょう。


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