2019年10月29日

高齢シリーズ その①:眼の変化。

おはようございます、勤務医の林です。敬老の日でまた3連休がありますね。
我が家で飼っている猫も老猫と言って差し支えない年齢になってきたので、
敬老の日にはなにかプレゼントを考えようと思います🐱
しかし最近は休日の度に台風が来るので、今度くらいは遠慮してほしいです💧

ということで(?)敬老の日にかこつけて高齢動物シリーズも始めてみます。
各臓器ごとにまとめていって、現時点では10回前後を予定しています。
1回目はやっぱり【眼】👀。


高齢動物の【眼】と言えばまず最初に思いつくのは『白くなる』ですかね。
眼科シリーズでも度々書いていますが、高齢になると「白内障」の発症する
動物がちょこちょこ見られます。

ですが『眼が白い』=「白内障」ではありません。ここテストに出ます!(笑)

『高齢』になった動物で『眼が白い』と言われた時、
・白内障 ・核硬化症 ・角膜ジストロフィ ・角膜浮腫 ・前房蓄膿、
このくらいはパッと思いつき、そこから鑑別していきます。

1153.jpg
この子は以前にも登場しましたが、写真ではわかりにくいですが両眼とも
白くなっています。診断は片目が白内障で、もう片目が核硬化症でした。
同じ『眼が白い』でも右眼と左眼で診断内容が違うこともよくあります。


おなじく、高齢の動物で『眼が黒い』と言われた時は
・緑内障 ・虹彩萎縮 ・ドライアイ ・色素沈着 ・腫瘍 ・黒色壊死、
この辺りが鑑別診断に入ってきます。
緊急対応が必要な疾患と、経過観察で良い病気の両方があるのが嫌ですね。


他には『眼が赤い』、『目ヤニが多い』、『まぶたに何かある』、
この辺りが高齢動物の眼に多い症状だと思います。

とくに『まぶたに何かある』時は、ほぼほぼ腫瘍だろうと思います。
まぶたの腫瘍は良性のことが多いですが悪性のこともあり、自分は
しっかり説明した上で、摘出手術も提案しています。

高齢の子が更に歳を取り、体が弱ってきた時に手術しなければいけない、
なんてことにならないようにしたいものです。


上記に書いたような症状が気になる時は、お気軽にご相談ください。
それぞれの症状の原因を診断し、今後どうするかを決めていきましょう。


書き始めてから分かったけれど、病気の内容を一つひとつ細かく書いていけないのでけっこう大雑把なまとめになりそうで不安(^_^;)
posted by ドル at 08:00| Comment(0) | 診療(林) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年10月23日

よくある病気 その①:外耳炎④ 治らない外耳炎の治療。

おはようございます、勤務医の林です。
雨が多いですね。お休みの度に雨が降っている気がします。
外に出られないので家の片付けが捗るはずが、ついつい他のことを
し始めてしまうという、片付けできないあるあるが続いています⤵

前回までの外耳炎シリーズで、外耳炎の原因について書いてきました。
4つある素因の中で、やはり一番大事なのは【主因】です。
再発するor中々治らない外耳炎はこの主因の管理ができてないことが
多いと思っていますが、その中でもとくに『アレルギー』が関与して
いることが多い気がします。


明らかなアレルギーがあればとても分かりやすいのですが、
軽度のアレルギーだとそれこそ外耳炎しか症状が出ないこともあり
「アレルギーがおおもとにありそうです」と言っても中々伝わり
にくいことも多いです。

そんな時に試してもらいたいことは「ステロイドを使ってみる」こと。
ステロイドの乱用は当然いけませんが、適切に適度に使うということは
炎症や痒みを始めとしたアレルギーを管理するためにはとても良い薬です。

ステロイドを使う前に食餌内容の変更をお勧めすることもありますが、
その場合は結果や効果が出るまで多少時間がかかります。


また、アレルギーの場合は【体質】が基にあるため、『完治』させることは
出来ないことが多く、その場合は『管理』することが大事になってきます。
完治はしなくとも悪化させず、動物の負担やストレスにならないように
適切に管理することを目標に治療方針を相談していきます。

ここでの管理とは『とにかくステロイド!』で痒みなどを抑えることではなく、
ステロイドを使うとしても必要最小限の使い方をすることです。
局所でのステロイド使用であっても『ステロイド皮膚症』と言われる局所での
副作用が出ることがあるので、それさえも起こさないようにしたいです。

また、症状を完全になくすことはできなくとも、動物のストレスにならない
程度に『症状を軽くすることを目標』とし、自宅で定期的に耳の洗浄をして
もらうこともあります。


やっぱり一番大事なことは「動物の負担にをできる限り減らすこと」なので
そうするために何が良いのか? 何を行えるのか? 
そこを相談し、飼い主様のできることを決めていければと思います。

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2019年10月15日

休日(?) その⑩:小学校での授業。

おはようございます、勤務医の林です。指の慢性痛が消えません…💣
ボルダリングをしているとどうしても指に負担がかかってしまいます💦
腰の方はまぁまぁ落ち着いてくれてるのですが…⤵

動物用で痛みのある子に好感触のサプリがあるのですが、先日行った学会で、
その会社が人用のも作り始めてくれたということでそれに期待しています💕
サプリの効きが良ければ当院の患者さんにも更にお勧めしやすそうです。


それはそれとして、ボルダリングでの友人が小学校の先生をしているという
繋がりから、先日お休みをもらってその友人の小学校で授業をしてきました。
内容は「どうぶつびょういんのじゅういさん」というタイトルで、
当院の一日の仕事内容を話したり小学生からの質問に答えたり、
なかなかに悪戦苦闘しながら1時間余りの授業をしてきました。

図123.jpg
(今回も自分の顔は柴犬になってます。笑。)

小学生の質問って視点がすごいですよね。
眼からウロコが5枚以上は落ちた気がします。笑。


今回授業を聞いた子たちが、家に帰って家族に話したり、1ヶ月後に誰かと
話したり、何年か後に弟や妹が同じ学年になった時に思い出したり…。
誰かの心に少しでも授業の記憶が残ってくれたら好いな、と思います。



  休診日のお知らせ

10月22日は『即位礼正殿の儀』による祝日のため
当院は終日休診いたします。
気になる点や不明な点がございましたら
お気軽にお問い合わせください。

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2019年10月08日

よくある病気 その①:外耳炎③ 悪化させるのは誰だ?

おはようございます、勤務医の林です。だいぶん過ごしやすい毎日ですね。
今月中に新しいバーベキューコンロで昼から色々と楽しみたいものです。
しかし週末には台風が来るとか来ないとか。しかもまた気温が上がる?

雨降って気温が上がると、折角良くなった外耳炎がまた悪化する…⤵
しかし『高温多湿』がなぜ外耳炎を悪化させるのでしょうか?
ということで、外耳炎シリーズの続きです。

前回は『外耳炎を起こす原因』についての内容でしたが、
今回は【外耳炎を悪化させる原因】について書いていこうと思います。

前回書いたことの繰り返しになりますが、PSPP分類についてもう一度。
PSPP分類とは、
・主因 :Primary
・副因 :Secondary
・憎悪因:Perpetuating
・素因 :Predisposing の4つの要因から外耳炎を考える方法です。
今回は主因以外の3つの要因についてお伝えしていきます。


【副因】:主因や他の要因との組み合わせで外耳炎を発症させる原因。
ここに『細菌感染』や『マラセチア感染』などが入ってきます。
また、人での外耳炎の主な原因になる『過剰な耳掃除』もここに入ります。
主因が管理できれば、副因の管理も容易に行えます。大事なことは、
やっぱり主因を如何に管理できるかどうか、ということに尽きます。


【憎悪因】:『外耳炎が起きた後、』外耳炎を治りにくくする要因。
起こった外耳炎を長期化させ、治りにくくするのがこの憎悪因です。
たとえば、外耳炎が起きたことで『耳道が浮腫を起こす』ことや、
『耳垢の過多』、『上皮移動障害』、『中耳炎』などがここに入ります。
この要因を管理することは、「外耳炎を起こさせない」と言うよりも、
「発生した外耳炎を長期化させない」ために大事です。


【素因】:『外耳炎が起こる前から』存在し、外耳炎を悪化させる要因。
上の憎悪因とよく似ていますが、ちょっと内容が変わってきます。
この要因があると、外耳炎が起きた後により悪化しやすくなります。
ここに『垂れ耳』や『夏の高温多湿』などが入ってきます。
この部分は完全に管理することは難しいことですが、この要因を頭に
入れておくことで悪化を減らすことを考えられるようになります。


なんだか頭がこんがらがるような内容ですが、ざっくりまとめると
【主因が大事なんだよ!】【その他の要因も考えて管理しなきゃ!】
ざっくりしすぎだと怒られそうですが、この2つで終わりです。笑。

しかし実際、主因を治療/管理して、副因たちもなるべく管理すれば、
外耳炎の再発は減らせるのです。
ここでとても大事なことは、外耳炎の再発は【減らせる】ものであって、
【100%防げる】ものではない、ということです。


なるべく動物たちの負担にならないよう外耳炎の再発を減らすためには
どんな治療を行うのか? 次回は治療編を書いていく予定です。

posted by ドル at 09:00| Comment(0) | 診療(林) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年10月01日

よくある病気 その①:外耳炎② 犯人は垂れ耳じゃない!?

おはようございます、勤務医の林です。
外耳炎シリーズその②です。前回、人と動物の耳道の形状の違いや、
垂れ耳だから外耳炎になるわけではない、といったことを書きました。

では、外耳炎を起こす犯人はいったい誰なのか?💥 
その辺りを今回と次回は書いていきます。
そしてあとは治療法を書き、今回の外耳炎シリーズは終わりかな?

近年は動物の外耳炎の要因などを理解するために、
【PSPP分類】というものが提唱されています。

PSPP分類とは、
・主因 :Primary
・副因 :Secondary
・憎悪因:Perpetuating
・素因 :Predisposing  のそれぞれ頭文字をとったもので、
外耳炎の病態に関する要因を4つのカテゴリーに分けて考えるための物です。
今回はこの4つのうち、一番大事な『主因』に関して書いていきます。

主因とは、それだけで外耳炎を発生させることが出来る因子を言います。
つまりこの主因をなんとかしないかぎり、多少落ち着いたように見えても
外耳炎は何度でもよみがえる! というタチの悪い物です。

主因の一例としては、『アレルギー』や『感染症』が挙げられます。
アレルギーとは「アトピー」や「食物アレルギー」などですが、
慢性外耳炎になる犬のうち80%程度がアトピー性皮膚炎が背景にあった、
という報告もあるくらい、アレルギーと外耳炎はリンクしています。


また、感染症には「耳ダニ」が主に言われています。

ここでお伝えしたいのは、外耳炎の時によく名前が出る【マラセチア】は
外耳炎の主因にはなっていない、ということです。
つまり、マラセチアは外耳炎の直接的な原因にならないと言われています。
また、一般的な細菌感染も外耳炎の主因ではないのです。


大事なことは患者さんの外耳炎の【主因】はなんなのか?
その原因を考えて、主因に対する治療を行うことが外耳炎の治療には
一番大事であり、再発させないためのポイントです。

次回は主因以外の要因を書いていきます。


写真が無いとちょっと寂しいブログになるなぁ…。
posted by ドル at 09:00| Comment(0) | 診療(林) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする